オウリアンダ
マコはバスタオルを脱衣カゴに入れ、体を洗う用のタオルを俺に渡してくれた。
マコが出ていったのを確認して服を脱ぎ、ドアを開けると浴槽は黒く光っていた。そもそも黒い浴槽なんてラブホ以外で初めて見た。風呂までお洒落にする必要はあるのだろうか。
文句を言いつつも気分はウキウキだ。なんと言っても温かい風呂だ。しかも、足が伸ばせるほど広いと来た。これがテンションを上げずにいれるだろうか。
体を忙しなく洗い、俺は浴槽にダイブした。
なんと良い湯加減だろうか、マコ様ありがとう。
しかし、気になるのは背中にガッツリ入った刺青。湯船に浸かりながらぼんやりと思い出す。なんか花っぽかったな。
初対面だし、俺に全てを話す訳でもないだろう。俺だってマコに話していないことは沢山ある。知られたくない過去かも知れない。散策するのはやめとこう。
10分くらい湯船につかりながら物思いにふけっただろうか。風呂は好きなので出来ればもっと浸かっていたいが、他人の家の風呂なのでそうもいかない。俺は風呂を上がることにした。
脱衣カゴにはさっきまで着ていた服はなく、マコが用意してくれた部屋着のスウェットとバスタオルがあるだけだった。
洗濯機が回っている。もしかして洗ってくれてるのだろうか。
俺は体をサッと拭き、スウェットを着た。
普段スウェットを着ないので、なんだか違和感があった。違和感を解消するため四苦八苦。腕をまくってようやくその違和感は解消された。
バスタオルと体を洗うタオルを持ってリビングのドアを開けた。
マコはテレビを食い入るように見ていた。タクシーの運転手が車を残したまま行方不明になったと云うニュースが流れていた。
「ありがとう。かなり気持ちよかった。あんまり高級だからビックリしたよ。これ、俺が使ったタオル。」
俺はタオルを差し出した。何故か俺の声はマコに届いていないようだった。
「かわいそうに…」
マコがボソッと言った。
「え?」
何のことだろうか。意味がわからず思わず声が漏れた。
「この運転手殺されてるよ。かわいそうに…」
まるで見てきたみたいな言い方をする。その表情はあからさまに暗かった。ニュースから流れる状況から考えて殺されててもおかしくはないのだろうが。
「あ!ごめん。お風呂気持ちよかった?服は勝手に洗っちゃった。ごめんね。」
マコは俺の差し出したタオルを受け取った。
やはり洗濯をしてくれていたのか。洗濯をしてくれた事にお礼をいうと、その表情は明るくなり、元のマコに戻ったようだった。
どこの誰かもわからない人の死を悲しむ事が出来るなんて…優しいんだな。俺は他人の死を気にするほどの余裕はない。
しばらく他愛もない雑談をした。洗濯が終わったようで、マコは俺の服を外に干してくれている。
改めてマコを見る。さっきはあまり意識していなかったが、マコも風呂に入ったので既にノーメイクだ。ノーメイクでもかなりかわいい。18歳には見えない大人っぽい魅力があった。
夜の世界で働くと大人っぽい魅力が引き出されるものなのだろうか。
洗濯物を干し終えた所で、マコが言った。
「そろそろ寝ようか」
きたきたきたきた!!
「ベッドも布団も一つしかないんだ。一緒の布団になるけどいい?」
むしろ、それを望んでおります!しかし、ここは冷静を装う。
「な、なんだか申し訳ないけど、マコがいいなら俺は全然構わないよ。」
なんだかいいセリフが思い付かない。女遊びは相当したが、なんだかマコの前では童貞みたいになる。
「よかったぁ」
マコはホッとしたように言った。俺もよかったです。
寝室に移動した俺はその高級感にまた驚いた。
ある人は言った。『シングルベッドで夢とお前抱いてた頃』いや、このベッドはキングサイズぐらいはある。
またある人が言った。『きしむベットの上で優しさを持ち寄り』いや、このベッドはウォーターベッドだ。何をしてもきしむことはないだろう。
ウォーターベッドってこんなに寝心地いいのか!すごい!まさに浮いてる感じがする。絶対買う!いつか買う!
「このベッドっていくらくらいするの?」
少々やらしい質問だったが、聞かずにはいられなかった。なんといっても俺はこのベッドをいつか買うのだ。値段くらい聞いておかないと。
「私が買ったんじゃないから詳しくはわからないけど、大体50万くらいって言ってたよ。」
俺は買うのを諦めた。
俺が寝転ぶとマコは電気を消して隣りに入ってきた。変にドキドキする。緊張してゴソゴソ動いているとマコの方から話しかけてきた。
「私の背中の刺青、見たでしょ?」
マコが出ていったのを確認して服を脱ぎ、ドアを開けると浴槽は黒く光っていた。そもそも黒い浴槽なんてラブホ以外で初めて見た。風呂までお洒落にする必要はあるのだろうか。
文句を言いつつも気分はウキウキだ。なんと言っても温かい風呂だ。しかも、足が伸ばせるほど広いと来た。これがテンションを上げずにいれるだろうか。
体を忙しなく洗い、俺は浴槽にダイブした。
なんと良い湯加減だろうか、マコ様ありがとう。
しかし、気になるのは背中にガッツリ入った刺青。湯船に浸かりながらぼんやりと思い出す。なんか花っぽかったな。
初対面だし、俺に全てを話す訳でもないだろう。俺だってマコに話していないことは沢山ある。知られたくない過去かも知れない。散策するのはやめとこう。
10分くらい湯船につかりながら物思いにふけっただろうか。風呂は好きなので出来ればもっと浸かっていたいが、他人の家の風呂なのでそうもいかない。俺は風呂を上がることにした。
脱衣カゴにはさっきまで着ていた服はなく、マコが用意してくれた部屋着のスウェットとバスタオルがあるだけだった。
洗濯機が回っている。もしかして洗ってくれてるのだろうか。
俺は体をサッと拭き、スウェットを着た。
普段スウェットを着ないので、なんだか違和感があった。違和感を解消するため四苦八苦。腕をまくってようやくその違和感は解消された。
バスタオルと体を洗うタオルを持ってリビングのドアを開けた。
マコはテレビを食い入るように見ていた。タクシーの運転手が車を残したまま行方不明になったと云うニュースが流れていた。
「ありがとう。かなり気持ちよかった。あんまり高級だからビックリしたよ。これ、俺が使ったタオル。」
俺はタオルを差し出した。何故か俺の声はマコに届いていないようだった。
「かわいそうに…」
マコがボソッと言った。
「え?」
何のことだろうか。意味がわからず思わず声が漏れた。
「この運転手殺されてるよ。かわいそうに…」
まるで見てきたみたいな言い方をする。その表情はあからさまに暗かった。ニュースから流れる状況から考えて殺されててもおかしくはないのだろうが。
「あ!ごめん。お風呂気持ちよかった?服は勝手に洗っちゃった。ごめんね。」
マコは俺の差し出したタオルを受け取った。
やはり洗濯をしてくれていたのか。洗濯をしてくれた事にお礼をいうと、その表情は明るくなり、元のマコに戻ったようだった。
どこの誰かもわからない人の死を悲しむ事が出来るなんて…優しいんだな。俺は他人の死を気にするほどの余裕はない。
しばらく他愛もない雑談をした。洗濯が終わったようで、マコは俺の服を外に干してくれている。
改めてマコを見る。さっきはあまり意識していなかったが、マコも風呂に入ったので既にノーメイクだ。ノーメイクでもかなりかわいい。18歳には見えない大人っぽい魅力があった。
夜の世界で働くと大人っぽい魅力が引き出されるものなのだろうか。
洗濯物を干し終えた所で、マコが言った。
「そろそろ寝ようか」
きたきたきたきた!!
「ベッドも布団も一つしかないんだ。一緒の布団になるけどいい?」
むしろ、それを望んでおります!しかし、ここは冷静を装う。
「な、なんだか申し訳ないけど、マコがいいなら俺は全然構わないよ。」
なんだかいいセリフが思い付かない。女遊びは相当したが、なんだかマコの前では童貞みたいになる。
「よかったぁ」
マコはホッとしたように言った。俺もよかったです。
寝室に移動した俺はその高級感にまた驚いた。
ある人は言った。『シングルベッドで夢とお前抱いてた頃』いや、このベッドはキングサイズぐらいはある。
またある人が言った。『きしむベットの上で優しさを持ち寄り』いや、このベッドはウォーターベッドだ。何をしてもきしむことはないだろう。
ウォーターベッドってこんなに寝心地いいのか!すごい!まさに浮いてる感じがする。絶対買う!いつか買う!
「このベッドっていくらくらいするの?」
少々やらしい質問だったが、聞かずにはいられなかった。なんといっても俺はこのベッドをいつか買うのだ。値段くらい聞いておかないと。
「私が買ったんじゃないから詳しくはわからないけど、大体50万くらいって言ってたよ。」
俺は買うのを諦めた。
俺が寝転ぶとマコは電気を消して隣りに入ってきた。変にドキドキする。緊張してゴソゴソ動いているとマコの方から話しかけてきた。
「私の背中の刺青、見たでしょ?」