桜花
鏡花は少しでも希望の光が射したことにやっと笑顔を見せた。
「鏡花様が桜花様を思う心が有る限り、桜花様は消えません」
「分かった。私、毎日必ずお参りにくる。絶対に」
「そうして下さい。私たちが願っても人ではありませんから、神の糧にはなれないのです」
「じゃあ霞の分までお参りするから!」
「……ありがとうございます」
霞は驚きに目を軽く見張り、泣きそうな笑顔で礼を言った。
「さて、鏡花様。雨が弱くなってきたのでそろそろお帰り下さい。
このままここに居ては風邪を引きます」
霞の言う通り、雨は弱まっていた。
遠くの山の方は少し雲が薄くなっている。
じきに晴れるだろう。