桜花


鏡花は元気よく返事をして、また台所に向かった。


この時、鏡花は祖父が『桜花』という名前を聞いて、訝しい表情をしていた事に気が付かなかった。


鏡花の祖父はここの村、「嶺渡村」(ねわたしむら)の顔役のような立場だ。

だから、この村の人々との大体が知り合いなのだが、『桜花』と言う名の付く人物は――










――いない。

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