桜花


「鏡花ちゃんだって。


本当は放って置くつもりだったんだけど、あの子どうやら見えるみたいなんだよね」


「そのようですね」


「今時、珍しい力を持っておる童じゃの。


昔はもう少し多かったが、今はめっきり減りおったわい。」


「確かにね。


見鬼の持ち主は、今は随分減ったからね」


桜花が言う『見鬼』とは、読んで字のごとく、鬼を見る力。


即ち、妖や物の怪を見る力のことだ。


鏡花は白蛇や小鬼のことを見て触ることが出来ていた。


つまり、鏡花は見鬼と霊力が強い証だった。


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