桜花
全ての授業が終わり、放課後となった。
鏡花は急いでランドセルに教科書などを詰めると背負い、靴箱まで走った。
少しでも早く桜花に会いに行きたかったのだ。
鏡花は息を切らせながら山を登る。
多少は舗装(ほそう)されてはいるが、落ち葉や苔が生えているため滑りやすい。
もう少しで登りきると思ったとき、
「あっ……」
山を登り慣れていない鏡花は落ち葉に足を滑らした。
こける瞬間がスローモーションのようにゆっくり見える。