桜花
最近はトランプやしりとりなどをしていたが、飽きてきたのだ。
「面白い話、うーんあったかな……。
あ、そうだ鏡花ちゃん、昔話はどう?」
「昔話?」
鏡花は昔話という言葉に興味を持った。
読書が好きな鏡花にすれば興味を引かれない訳がなかった。
「そう。僕だけが知ってるここにある桜の木の昔話」
「桜花だけが知ってるの?
なんで?」
「それは秘密」
桜花は唇に指を一本当ててにっこり笑った。
「えーー」
今までの経験上、これは絶対に教えてくれない仕草の一つだった。