桜花
祖母が作ってくれた温かい朝ごはんを食べて部屋に戻る。
また窓越しに空を見てみると、さっきまで遠くでゴロゴロ鳴っていた雷が近くで光った。
すると、ポツッと白い線が見えたかと思うとザーと勢いよく降りだした。
「雨、降ってきたな……」
鏡花はぼんやりとそう呟いた。
雨は強くなる一方で、空もかなり暗くなっている。
鏡花は特にやることがなかったので、机の上に置いてあった読みかけの小説を開く。
表紙には『Brave night』《勇敢な夜》とあった。