桜花
鏡花は一瞬にして凍りつく。
「嘘、うそでしょ……」
「嘘ではありません。
今、桜花様は消えかかっています。
私やこの森に住む生き物たちはすでに察知しているでしょう。
今まで感じていた加護が薄れていますから」
「加護?」
「鏡花様の住む村の人々も加護を受けていますが、人には感じ取れないでしょう。
桜花様は自然の加護を与えてくれていました。ですが、今はそれが薄れてしまい感じ取るのがやっとです」
「桜花はあの雷で死んじゃうの?」
「……あそこまで深く傷付いていなければ大丈夫だったでしょうが…。
桜花様が回復するのは難しいかもしれません」
「そんなっ……」
ギュッと鏡花は濡れた服のそでを握り締める。
「ですが、回復させる手段はあります」