本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
小牧くんだった。
外せない用事というのは、語尾を延ばしながら喋るミニスカートの似合う女性たちとお酒を飲むためということだったようだ。
恐らく接待なんだろうけど正直こんなところで会いたくなかった。
目線を合わせたくなくてメニューをガン見する私の手を美和がバシバシ叩くがどうしても笑顔が作れず我関せずを装った。
「あら小牧くんじゃない。今日は杏奈をお借りしてますのでよろしく」
美和が頬ずえをつきながら上目遣いで小牧くんを見るのがわかった。
「小牧さ~ん。どうしたんです~?席はこっちですよ~~」
視界の端にうつったのは恵の手を掴んで引っ張るように席に誘導する語尾の長い女性。
「杏奈」
小さな声で私を呼ぶ声が聞こえたがどうしても顔を上げられなかった。
店の奥の座敷に案内された様だが個室形式になってるため中の様子はわからない。
しばらくすると美和の大きなため息が聞こえた。
「杏奈、あれは恐らく接待だから気にしない事……といってもその様子だとめちゃめちゃ気になってるね」
「そ、そんなこと」
「ある!」
美和にきっぱり言われた。
「顔に出てるよ~。ま~仕事だといってもあんなあからさまに小牧狙いな女子がいたらおもしろくないよね。私もこれが航ちゃんだったら面白くないもん」

こんなことまで美和に気を使わせてしまって申し訳ないっておもう。
この先こんなこといくらでもある。
特に恵はイケメンだ。私がもっと容姿端麗なら堂々としてられるのに・・・
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