本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》

「随分遅かったけど、どうかした？」
トイレから帰ってこない私を美和はかなり心配していた様だった。
ごまかそうと少し混んでただけと説明したがどうも私は顔に出やすい様でその嘘はあっさり見破られた。
仕方なくトイレで出来事をはなした。
「で？杏奈は何を悩んでんの？」
冷ややかな言葉が帰ってきた。
「・・・・・」
「どうせ、私なんかよりとか思ってんじゃないでしょうね～」
「それは」
「小牧くんは杏奈を１０年間ずっと忘れられなかったのよ。そんな人があんな軽そうな女になびくと思う？それって何？自分に自信がないのかそれとも小牧くんを信じてないどっちよ！」
語気を荒げる美和に私は小さな声で自分に自身がないと答える。
それを聞いて美和はいきなり席をたった。
「美和どこ行くの？」
美和は私を睨むと、ちょっと待ってな！と怒り気味に言うとトイレの方へと向かったがその足は突き当たりの座敷の前で止まった。
そしていきなり「失礼しま～～す」と営業用の声で恵たちのいる座敷の襖を開けた。