本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
恵は私を押し込むようにタクシーに乗せると自宅の住所を運転手に告げた。
タクシーの中の恵は私に声をかけるわけでもなく頬杖をつきながら窓の外の景色を黙って見ていた。
私も自分から声をかけずらくて下を向いたままだった。
だが、なぜか手だけではしっかり握られていた。
手が離れたのはマンションについて精算をしている時のみで、タクシーを降りると逃がさないとばかりに手を握られた。
本当だったら会えなかった時間を取り戻すようにいろんな話をするのだろうけど、その余裕がない。
やっぱり私ってつまらない女だ。
誰かになにか言われたわけでもないのに
どうしても悪い方悪い方に考えてしまう。
そんな自分が本当に情けなくなる。
家に着くと恵くんはコートとマフラーそしてカバンをソファーに投げるように置くと勢いよく座って天井を仰いだ。
そしてリビングの入口で突っ立ている私を横目でちらりと見ると自分の横を指差し座れと言った。
私が遠慮がちに隣に座ると恵が私の肩を抱き寄せた。
「急にこんな関係になって戸惑いもあると思うけどさ~もっと堂々としていいんだから」
私は返事ができなかった。
「美和さんから聞いたよ。自分なんかが彼女でいいのかってこの期に及んで悩んでるからどうにかしなさいってね。ほとんど命令だったよ」
うなだれる私に恵は話を続ける。
「っていうかさ、俺は杏奈が好きで一緒にいるんだよ。10年間、諦めようと思っても諦められなかった。それを自分なんかでいいのかって……それって杏奈を好きになった俺ってなんなの?」
「それは……」
言葉に詰まる。
「それとも杏奈は俺に他の女と付き合ったほうが幸せだとか思ってんの?」
「ち・・違う!そんなんじゃ・・・」
「じゃあ・・・なに?」
「自分に自信がないの。私みたいな特別美人でも可愛くもない女がイケメンの恵の彼女だと恵の評価をさげてしまうんじゃないかって」
結局私は10年前から全く変わっていないのだ。
高二の時に付き合っていることを内緒にしてもらったのも結局の所、理由は今も昔も変わっていない。
タクシーの中の恵は私に声をかけるわけでもなく頬杖をつきながら窓の外の景色を黙って見ていた。
私も自分から声をかけずらくて下を向いたままだった。
だが、なぜか手だけではしっかり握られていた。
手が離れたのはマンションについて精算をしている時のみで、タクシーを降りると逃がさないとばかりに手を握られた。
本当だったら会えなかった時間を取り戻すようにいろんな話をするのだろうけど、その余裕がない。
やっぱり私ってつまらない女だ。
誰かになにか言われたわけでもないのに
どうしても悪い方悪い方に考えてしまう。
そんな自分が本当に情けなくなる。
家に着くと恵くんはコートとマフラーそしてカバンをソファーに投げるように置くと勢いよく座って天井を仰いだ。
そしてリビングの入口で突っ立ている私を横目でちらりと見ると自分の横を指差し座れと言った。
私が遠慮がちに隣に座ると恵が私の肩を抱き寄せた。
「急にこんな関係になって戸惑いもあると思うけどさ~もっと堂々としていいんだから」
私は返事ができなかった。
「美和さんから聞いたよ。自分なんかが彼女でいいのかってこの期に及んで悩んでるからどうにかしなさいってね。ほとんど命令だったよ」
うなだれる私に恵は話を続ける。
「っていうかさ、俺は杏奈が好きで一緒にいるんだよ。10年間、諦めようと思っても諦められなかった。それを自分なんかでいいのかって……それって杏奈を好きになった俺ってなんなの?」
「それは……」
言葉に詰まる。
「それとも杏奈は俺に他の女と付き合ったほうが幸せだとか思ってんの?」
「ち・・違う!そんなんじゃ・・・」
「じゃあ・・・なに?」
「自分に自信がないの。私みたいな特別美人でも可愛くもない女がイケメンの恵の彼女だと恵の評価をさげてしまうんじゃないかって」
結局私は10年前から全く変わっていないのだ。
高二の時に付き合っていることを内緒にしてもらったのも結局の所、理由は今も昔も変わっていない。