本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
もしこれが最後だったら俺って本当に最低な男止まりかもしんない。
最後かもしれないチャンスをあんな言い方で終わらせるなんて

俺はゆっくりと立ち上がると
肩を落としながら自宅へと向った。

就職して2年たった頃実家を出て一人暮らしを始めた。
今まで自宅までの道のりがこんなに重く感じることなんかなかった。

コートとカバンをソファーに力なく置くと
ネクタイをゆるめながらカバンをまくら代わりに
横になる。
足は完全にソファーからはみ出ているがそんな事はどうでもよかった。
出来る事ならもう一度再会したところからやり直したい。
人差し指を自分の唇に当てる・・・
あの感触・・・杏奈との荒々しいキスを思い出す。
胸が苦しくなる。
ふとダイニングチェアーに目をやるとそこには
クタクタになったモスグリーンのマフラーが背もたれに掛けられていた。
杏奈からの最初で最後のプレゼント。
俺はこれをずっと愛用してる。
俺の中でこのマフラーが杏奈との唯一の繋がりだと勝手に思っていたから


「あ~くそ~!会いたい!もう一度会いたい。」
心の叫びが口から出ていた。

その時だったスーツのポケットからこもった音が聞こえた。
俺は飛び起きてポケットからスマホを取り出した。

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