本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
言った直後に後悔した。

まだ付き合いはじめたばかりだと言うのに大胆なことを言ってしまったのでは?
でも小牧君は食べる気満々。
慣れない手つきで小牧君に卵焼きを差し出すと、私の箸を持つ手を掴んでパクっと一口。
え?も、もしかして今のは間接キス?
ドクドクと心臓の音がうるさくなる。
しかも小牧君は私の手を離す気配がない。
「美味い!めっちゃ美味いよ。ねえ!今度は俺用の卵焼き作ってきて」
掴まれた手のことも気になるが、子犬が尻尾を振る様におねだりされてNOと言えるはずもなく
私は無意識のうちに首を縦に何度も振っていた。
「・・っていうかさ、杏奈の手って…めっちゃくちゃ柔らかくて気持ちいいんだけど」
「ええ?!」
驚いて離そうとするが離してくれない。
「ねぇ・・・時間まで手握ってていい?」
「ええええ?」
心臓に悪いよ。
「わ、私がお弁当食べるまで待ってて・・・」
うまく言葉が浮かんでこなくてとっさに出た言葉がこれだ。他にもっと可愛い言い方はなかったのかと
また後悔。
小牧君は私がお弁当を食べ終わると待ってましたとばかりに私の手を握ってきた。

最初は普通に握っていたのだが小牧君の手がもぞもぞと動き出し、私の指と指の間に自分の指を滑り込ます。
そして絡みあった手を私の目の高さまで上げるとニコッと笑った。
「知ってる?これ恋人繋ぎって言うんだよ」
名前を聞いただけで私の顔は真っ赤になる。
そんな私を
小牧君はかわいいと言ってくれた。

初めての彼氏がまさかこんなに積極的だったとは…
私は一体そんなカレにちゃんと彼女として付き合えるのか不安だった。
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