本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
「あれ?香坂?」
初詣の参拝の列からよく知った顔が私を指さし近寄って来た。
「辻先生?!」
いつも見るスーツ姿からは想像できないほど今風と言うかおしゃれな格好だった。
細身のジーンズにショートブーツ上はダウンジャケット、裾からチェックのシャツが見えてて
頭にはニットキャップ。しかも良く似合ってる。
元々かっこいい部類に入る人だから彼女いてもおかしくないんだけど・・・
「お前こんなとこで何やってんだ?」
「え?ちょっと待ち合わせですが」
先生は腕を組んで少し首をかしげ・・・ハッとし、今度はニヤリと笑った。
「小牧か?ふ~~ん……上手くいってんだ」
意外なと言いたげな言い方は教師とは思えない。
「そういう先生はおひとりですか?」
「お?!一人だけどなにか?」
開き直ってるし。
「先生くらいのイケメンなら両手に花で初詣かなって思ったんですけどね・・・・彼女いないんだ」
「いたらお前となんか話してねーよ」
「は?」
そうとしか言い返せなかった。

「別にお前に同情してもらおうなんて思ってねーよ」

私は小牧君が来るまでの時間潰しにはもってこいと思った。
それに小牧君が来たら先生に仲のいいところを見せつけたいなって思っていた。
だが……
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