本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
唇をかみしめ小牧君を睨みつけると小牧君の口角がぐっと上がった。
笑ってる?ほくそ笑んでるの?
「あの時と同じ目をしてんじゃん。杏奈」
ぐっと顔を寄せ耳元で囁く声に身体が反応する。
「だ、だから私はーー」
杏奈じゃないそう言おうとしたがその言葉はかき消され、そのかわりに小牧君に唇を塞がれた。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
だって、さっきまで視線を合わせようとしなかったのになんでこんなことになってるの?
あまりの驚きに目を閉じるのさえ忘れてしまった。
小牧君は、唇を離すと舌なめずりをしながら目を細めニヤリと笑った。
「やっぱりお前は香坂杏奈だ。この唇の感触を俺が忘れるわけがない」
私の顔が一気に熱を持つ。
「な、何言ってんの?」
握りこぶしに力が入る。このままグーパンチしてやる!
そう思って片方の手を上に上げようした。
「お前、全然成長してないんだな~あんなに俺をこっぴどく振っておいてさ」
その言葉に振りかざそうとした握てが止まる。
< 6 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop