本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
汚くてごめんと言いながらドアを開け中に入ると、これのどこが汚いのかと言いたくなる程男の人にしてはとても綺麗な部屋だった。
しかも広い。
私のアパートの3倍の広さはある。
同じ年齢なのにこの格差は……
「突っ立てないで座ったら?」
小牧くんはダウンジャケットを脱ぎながらソファーを指した。
私も着ていた上着を脱ぐとソファーに座りながら膝の上に乗せた。
すると小牧くんは私の上着を取り上げ、ハンガーにかけてどこかに持って行ってしまった。
「小牧くんコートは?」
戻ってきた小牧くんに尋ねると軽いため息を吐いた。
「ここまで来てお茶飲んだら帰るとか許さないよ」
「え?」
「え?じゃなくて……明日は土曜で休みなんだから時間の許す限り杏奈をかえすつもりなんかないから・ら」
「小牧君」
「10年の空白をすこしでも取り戻したいんだ」
それは私も同じだ。
だけどあまりにも展開が早すぎて戸惑ってしまう。
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