本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
再び付き合うようになって2週間が過ぎた。
互いに仕事をしているため高校生の時のように頻繁に会えない。
実際にこの2週間で会えたのは1回だけ。

小牧くん・・いや、恵(苗字で呼ぶのを禁止された為)は基本土日休みなんだけど今、大きなプロジェクトに関わっているため土曜日もほとんど休み返上で仕事。
会えないのは寂しいと思うけど今まで恋愛から遠ざかった生活だったから仕方がないと諦めている部分がある。
しょっぱなからわがままは言えないし・・・
その分互いに連絡は取り合っているけどそのほとんどがメール、もしくは電話で、圧倒的にメールが多い。

「へ~~忙しんだ。彼氏」
「うん。大きなプロジェクトに今回初参加で本人も気合がはいっているらしいよ」
本当は今日恵と会う約束だった。
だけど、お昼にどうしても外せない用事ができたと連絡があり予定がなくなった。
そんな私に美和が飲みに誘ってくれた。
「なんか他人事っぽい言い方ね~。付き合い始めって時間が許す限り会いたいっていうか、離れたくないって感じじゃない?そりゃ~仕事って言われりゃ~しかたないけどさ……杏奈の場合は特に10年ぶりだから特にそういう気持ちが大きいんじゃないかって思ってた」

美和は私の性格を知っているから敢えてもっと積極的になれと遠まわしに言ってくれたんだと思う。
だけど・・・
「別に他人事ってわけではないよ。元々甘えベタだしそれに輪をかけて恋愛が久しぶりすぎてわがままをいえないというか……」
高校生の頃、嫉妬と勘違いで大損しているだけに慎重になりすぎているのかもしれない。
「ま~杏奈の性格なら仕方ないか……でもたまには『いつでもいいから会いたい』ってわがままもありなんだからね。杏奈は彼女なんだから!」
美和が励ましてくれると元気をもらえたような気持ちになるが…
「うん・・・ありがとう」
そこまで言えるといいんだけど…・と思いながら残りのビールをぐいっと飲み干した。
そしておかわりをしようと店員を呼ぼうとした時だった。
お店の入口付近がやたら賑やかしくなった。
私は入口に背を向けていたため美和が首だけ通路側に出すようにして入口を見た。
その途端美和の目がほんの少し見開いた。
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