紅い記憶と廻る時
「大丈夫だよ!僕が弱かったのがいけないんだ。能勢は悪くないよ」
「……いや、お前は、強いよ……」
「え?能勢?どうした?」
「……何でもねぇ」
「?……あ!そうだ!今何時?!授業は?!」
思い出して、ガバッとベッドから上半身を起こす。
「大丈夫。今は放課後だよ。授業のノートは私がとっておいたから、後で写してね」
平が慌てる僕の手を、優しく握る。
温かい。
「……頭……まだ痛いか……?」
黒門が心配そうに聞いた。
「いや、もう痛くないよ。今からでも帰れる。ありがとう」
「そっか。じゃあ、一緒に帰る?荷物は持ってきておいたよ」
尾浜が僕の鞄を持ってみせた。
「あ、ありがと!」