紅い記憶と廻る時




ったく、なんて夢だ!

やっぱり夢だった。目を覚ましたら、ちゃんと引越し先の新しい家の、僕の部屋だった。

新しい学校の制服に腕を通しながら、心の中で憤慨する。

前はブレザーだったけど、今日から学ランだからちょっと違和感。ちゃんと着られてるのにどこか間違えたような感覚がある。

首元が詰まったみたい。


はーあ。今日は転校初日だっていうのに、なんだか良い気がしない。


「颯人ー!!朝ご飯できてるわよ!起きてるー?」


1階のキッチンから母さんの呼ぶ声が聞こえる。

もうとっくに起きてるっての!顔洗いに洗面台行ったの見てなかったのか?!


「はいよ!」


返事をしてから階段を降りた。




キッチンに着くと、すでに僕以外の家族が全員揃っていた。父さんと母さんと、小一の二人の妹。

着替えと準備に手間取ったから、思ったより遅くなってしまったみたいだ。

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