イケない隣人
私は顔を真っ赤にしながらも俊に小走りで駆け寄った。


私はこの時間が一番好き。


学校では女の子達がいっつも俊の周りにいて近づけないんだよね…。


「何、ニヤニヤしてんの?」


「へ…?あっ…別になんでもないよ?」


かっ顔に出てたのか…。

でも、もし好きって気が付かれたらこの関係は無くなってしまうかも…。


部屋にも来なくなって…挙句の果てには一緒に登校も無しに…。


そっそんなの…絶対嫌…!!


だから私は誓ったんだ…告白もしないし、感情も出さない。

俊は幼馴染にしか思ってないから告白したって絶対無駄。


私は俊の隣を歩きながらそう硬く誓った。


「…学校着いたけど?」


「へ…?あっ本当だ…」


いつの間にか好きな人との幸せな時間は終わり、学校の目の前。


なんだ・・・もう着いちゃった・・・。

「俊〜!」

「俊くぅん〜」


そんな甘ったるい声が靴箱の所で響き渡る。


やっぱり来た・・・。


この光景も、もう見慣れた事。



ドンッ



「いった・・・・」


騒ぐ女子達は私を押し退けて俊の傍に駆け寄る。


でも俊はそんなのに動じなく教室に向かって歩いて行く。



・・・・大丈夫。俊が相手をしてない事だって知ってる。


だから・・我慢しなきゃ・・・。


「おっ。嘉穂じゃん。」



そんな時、私の名前を呼ぶ声。


「あっ!勇気!」



そこには可愛い顔で笑う同じクラスメートの勇気がいた。


勇気はカッコイイじゃなくて、可愛いで人気を集めている。


まぁ・・・話しやすい友達かな?



「お前、早く教室入れよ〜」


そう笑った勇気は私の頭に手を置くと教室に入って行った。


かっ・・・・可愛い・・。


いつも俊の周りにいる女子から癒してくれるのは勇気だった。



「嘉穂〜!」


またまた元気な声で私を呼ぶ声。

「綾。おはよ−」


長い髪をサラサラと靡かせて。
細くて長い足がこっちに近付いてくる。


「ありゃ−・・・俊君モテモテだねぇ・・・」


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