イケない隣人

居残り。

む―……。


あれからと言う物の…チラチラと視線に入る俊と女の子達。


授業中なのに隣のクラスは移動教室で

俊と女の子達の姿が嫌にでも目に入ってくる。


「はぁ……」


今日何度めの溜め息だろう。

深くて大きな溜め息が自然に口から出る。


俊は嫌じゃないのかな…？

好きでもない女の子がベタベタして来ても

俊は嫌じゃないのかな…。


そう思えば思うほど涙が溢れて来る。

授業中なのに…早く止めなきゃ。


一生懸命涙を引っ込めようとした瞬間、



キーンコーンカーンコーン!



と元気の良いチャイムが学校中に鳴り響いた。


びっ･･･びっくりした･･･。



でも･･調度良いタイミングで鳴ってくれて良かったかも。


「じゃあ〜早く飯食って次の授業の用意しとけよ。」



チャイムが鳴った後に担任の大きな声で呼び掛けるとすぐに教室から出て行った。


一気に教室中が騒ぎ出す。



「嘉穂〜お昼食べよ♪」



綾が待ってましたと言うように私に駆け寄る。


「うん!食べよ♪」


綾の笑顔に釣られてつい私も口元が緩んでしまった。


さっきの涙は･･･気付かれて無いよね。



「俺もいれろよ〜」


続けてハイテンションな勇気もこっちに駆け寄って来た。


「え〜アンタはあっちに友達待ってんじゃん!」



綾は勇気を追いやるように手をしっしっとさせて冷たく言い張った。


「ひど･･･別いいじゃん!」


勇気は一瞬落ち込んだけどすぐに元気を取り戻して

私の隣に腰掛けた。



「友達が可哀相でしょ〜てか!嘉穂の隣の席は私専用だし!」


綾は勇気を無理矢理椅子から立たせて私の隣にストンっと座った。


･･･なんか･･二人のやり取りって面白い。


見てても飽きないんだよね〜。



二人の光景を見ながらクスクス笑ってると


「何笑ってんだよ･･･」


と勇気が私を呆れた顔で見る。


「えっ?いや･･･二人はお似合いだなぁって･･･っ」


その瞬間。綾と勇気が目を大きく開いた。