結婚しても恋愛中だもん

結婚記念日の夜

明後日は、俺達の結婚記念日。
彩と出会い10年。
子供達もスクスク育って、それでも
お前にずっと恋してんだ。
くしゃくしゃになって泣き笑いする顔、
膨れて拗ねる顔、俺に抱かれて見せる
女の顔。みんな俺のもの。
愛ってこんなに深いものだって、
彩から、教えられた気がするよ。

「彩?今日、仕事になったんだ。
買い物付き合えないがごめん。」

「…。そうなんだ。子供達の洋服選んでもらおうって。でも、仕方ないね。
それより、身体大丈夫?余り無理しないで下さいね。」

「ママ〜!合宿行ってきます!」
将くんのパパが連れて行ってくれる
ご挨拶しないと。

「勇くん。将くんのパパにお願いしますってご挨拶してきます。」
「あ〜。頼んだ。」

少しだけさみしそうな顔を見せた。
ごめんな。後でとびきりの笑顔みせてくれよ。


彩が外に出て行く。
賑やかな声?
「おはようございます。夏川卓人の母で
夏川彩です。」
「卓のママさん。どうも、将の父親の
弟なんです。
蒼甫です。いつもお世話になってます。」
「えっ?弟さん?あの将くんのパパさんは?」
「急な出張が入って、俺が頼まれまして
心配ないですよ。任せてください。」

あまり、一生懸命に話すから
「ふふ。」「あっ、何かおかしい事
言いました?」
「違うんです。ごめんなさい。笑ったりして。」

卓のママ。可愛いしなんかふわふわしてて、マジで。好きになりそうだ。

「なんだよ!楽しそうな顔して。
あの男?将くんのパパじゃない??
誰だ?」そんなことを思っていると
目の前に見える彩の姿。

「あっ、彩さん。髪に虫がついてます」
「キャ〜!イヤ〜!」
「大丈夫です。じっとして!はい。
もう、取れました。」
「あっ、ありがとう。」
なんだよ…。そんな顔をして。
人妻じゃなきゃ絶対彼女にした!!

「帰りまた、送ってきますから、携帯の番号教えてください。」
「あっそうですね。はい。」
「じゃ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。卓!頑張ってね!
「やっぱ、彩さん可愛い。」

俺の腕を掴み、
「蒼甫さん!俺様のママに惚れんなよ!
オヤジに殺されるぞ!!」
「え〜!」
「そんなに、怖い人?」
「まぁー。ママは、特別なんだよ。
わかる?大人な感じ?へへ。」
なんだよ。このガキ。


< 118 / 136 >

この作品をシェア

pagetop