世話焼きと腹黒と浮わつき
兄の面倒をよく見る私は周りから世話焼きママとか言われている。なんともむかつく。
私は別に世話焼きじゃないしそこまでお人好しと言う訳じゃない。知らない人には人見知りが発動して喋ることなんて二言三言程度。
そりゃあ友達のほっぺとかスカートとかにご飯のカスがついてたら取るけど、それは仕方ないと思う。だって気になるし。
「はい、お弁当。鞄の中に今すぐいれて」
「はーい」
昨日、兄が鼻血を流しながら探していた物は恥ずかしいことながら私の小さな時の写真だった。なんでそんなもの・・・と言ったらあんまり見れない真剣な顔で
『だって美智の写真って少ししかないし、アルバムは美智が持ってるからそうそう見れないし俺が持ってるものしかないからなくしちゃったら・・・もう昔の美智見れないし・・・だから今日見つからなくて焦って・・・顔面直撃して鼻血出ちゃって』
反省の色は全く見られなかった。
私が言いたいのはなんで写真を見つけるために探し回るんだって事だったんだけど、お兄ちゃんの話を聞いてるとなんだか情けなさで胸がいっぱいになって本来の言いたいこととか忘れてしまって意味がなくなる。
もう仕方ない。
「お兄ちゃん」
「なぁに?」
「寄り道しちゃ駄目よ?」
「うん」
「お年寄りと子供には優しく」
「うん」
「これ、お兄ちゃんの友達に渡して『いつもお世話になってるお礼です』って」
「う・・・えー!?これ美智の手作りマフィン!?」
「お兄ちゃん人のお世話になりまくってんだからお礼ぐらいして有り難み感じないと駄目人間になるよ?いいから渡しなさい」
「えー」
「お兄ちゃんの分は他にあるから帰ったら食べて」
「うん、わかった」
なんとも素直な兄である。
そして手の掛かる兄、息子を持った気分に時たまなるこの時、自分が老いたような気がして嫌になる。私はまだまだ若い私はまだまだ若い。
親はどちらとも仕事の時間が朝方からで顔を会わせる時間なんて1日であるかないか。まぁ子供たちとは昼夜逆転したような生活リズムを送っているため家事分業も決まっている。私が兄の世話、母が父の世話みたいな。
「じゃあ学校いくよー」
「うん。あ、美智。昨日なにかなかった?」
「昨日?」
昨日は罰ゲームとして軽いイケメンに告白されましたよ。とか言えない。言いたくない。ある種虐められてるような内容だから家族に言いたくない。いや、友達にも言いたくない。この事実絶対言わない。
「とくになにもなかったよ」
「そっか」
ニコッと笑って返すとほっとしたような笑顔を返された。何故?
意味を掴めない兄の微笑みに疑問を感じながら2人仲良く学校へと向かった。別々で言ったらお兄ちゃん道迷って最終的に私が探すはめになるからね。
*
「みっちーおはよー」
「おはよ」
「昨日さ飴買ったんだけど大増量だったみたいでめっちゃ多くてさみっちーもらって」
「うん、ありがとー」
私の通う高校は兄が通ってる高校の先にある。だから兄を送り届けられる。
受験の時は一緒の高校の方が幾分か近いし楽なのにと兄だけでなく両親にも言われたがお断りした。兄妹で一緒の学校で廊下とかで顔合わせするのとか嫌だ。お兄ちゃんにはなんの嫌悪もないのだけど一緒は嫌なんだ。なんとなく。
そう言えば、昨日のイケメン君は罰ゲームどうなったのだろうか?
告白したはいいがまさか断られるとはみたいなナルシス精神だったらどうしよう。鏡でも与えておこうか。
「あ、おっはよーミッチェル」
「・・・う、んおはよー」
呼び名に外国人名が入ってるのはもう慣れたから良いけどだからって使用許可が出た訳じゃないんだけどなぁ。
「あ、そーだ。ミッチェルミッチェル」
「なーに?」
「あんた倉田となんかあったの?めっちゃ機嫌悪かったんだよねぇ。ちょっと聞こえた話アンタの名前出てきたし」
「倉田?」
不躾な友達の質問に残念ながら思い当たる人はいないわけで。
誰ですかねぇ。くらたクラタ倉田・・・・・・んー?覚えがないなぁ
「私と同じ陸上部のチャライケメン」
ちゃらいけめんってなに。新しい代名詞?いや、ちゃら?チャラ男?昨日のイケメン?え、まさか昨日のイケメンご立腹なの?私バッドエンドに足突っ込んじゃった?
「倉田・・・くん、写真とかありますか?」
「あるよーほら。真ん中の意地悪い笑いしてるイケメン」
パッと見せてきた携帯の画面に写る何人かの男子の写真。いやーにかっと無邪気な笑いをしながらこちらに笑いかける男子達の笑顔眩しいなぁ。そして見覚えがちょっとある男子がいる。肩組んでる男子の口引っ張ってにやりと笑うイケメンくん。この人が倉田くんのようです。
すごい見覚えあるなぁ。肌結構焼けてるところを見ると去年の写真かな。
え。なに。この人怒ってるの?
私が昨日逃げたから?
それともプライドでもへし折ってしまいました?
私は別に世話焼きじゃないしそこまでお人好しと言う訳じゃない。知らない人には人見知りが発動して喋ることなんて二言三言程度。
そりゃあ友達のほっぺとかスカートとかにご飯のカスがついてたら取るけど、それは仕方ないと思う。だって気になるし。
「はい、お弁当。鞄の中に今すぐいれて」
「はーい」
昨日、兄が鼻血を流しながら探していた物は恥ずかしいことながら私の小さな時の写真だった。なんでそんなもの・・・と言ったらあんまり見れない真剣な顔で
『だって美智の写真って少ししかないし、アルバムは美智が持ってるからそうそう見れないし俺が持ってるものしかないからなくしちゃったら・・・もう昔の美智見れないし・・・だから今日見つからなくて焦って・・・顔面直撃して鼻血出ちゃって』
反省の色は全く見られなかった。
私が言いたいのはなんで写真を見つけるために探し回るんだって事だったんだけど、お兄ちゃんの話を聞いてるとなんだか情けなさで胸がいっぱいになって本来の言いたいこととか忘れてしまって意味がなくなる。
もう仕方ない。
「お兄ちゃん」
「なぁに?」
「寄り道しちゃ駄目よ?」
「うん」
「お年寄りと子供には優しく」
「うん」
「これ、お兄ちゃんの友達に渡して『いつもお世話になってるお礼です』って」
「う・・・えー!?これ美智の手作りマフィン!?」
「お兄ちゃん人のお世話になりまくってんだからお礼ぐらいして有り難み感じないと駄目人間になるよ?いいから渡しなさい」
「えー」
「お兄ちゃんの分は他にあるから帰ったら食べて」
「うん、わかった」
なんとも素直な兄である。
そして手の掛かる兄、息子を持った気分に時たまなるこの時、自分が老いたような気がして嫌になる。私はまだまだ若い私はまだまだ若い。
親はどちらとも仕事の時間が朝方からで顔を会わせる時間なんて1日であるかないか。まぁ子供たちとは昼夜逆転したような生活リズムを送っているため家事分業も決まっている。私が兄の世話、母が父の世話みたいな。
「じゃあ学校いくよー」
「うん。あ、美智。昨日なにかなかった?」
「昨日?」
昨日は罰ゲームとして軽いイケメンに告白されましたよ。とか言えない。言いたくない。ある種虐められてるような内容だから家族に言いたくない。いや、友達にも言いたくない。この事実絶対言わない。
「とくになにもなかったよ」
「そっか」
ニコッと笑って返すとほっとしたような笑顔を返された。何故?
意味を掴めない兄の微笑みに疑問を感じながら2人仲良く学校へと向かった。別々で言ったらお兄ちゃん道迷って最終的に私が探すはめになるからね。
*
「みっちーおはよー」
「おはよ」
「昨日さ飴買ったんだけど大増量だったみたいでめっちゃ多くてさみっちーもらって」
「うん、ありがとー」
私の通う高校は兄が通ってる高校の先にある。だから兄を送り届けられる。
受験の時は一緒の高校の方が幾分か近いし楽なのにと兄だけでなく両親にも言われたがお断りした。兄妹で一緒の学校で廊下とかで顔合わせするのとか嫌だ。お兄ちゃんにはなんの嫌悪もないのだけど一緒は嫌なんだ。なんとなく。
そう言えば、昨日のイケメン君は罰ゲームどうなったのだろうか?
告白したはいいがまさか断られるとはみたいなナルシス精神だったらどうしよう。鏡でも与えておこうか。
「あ、おっはよーミッチェル」
「・・・う、んおはよー」
呼び名に外国人名が入ってるのはもう慣れたから良いけどだからって使用許可が出た訳じゃないんだけどなぁ。
「あ、そーだ。ミッチェルミッチェル」
「なーに?」
「あんた倉田となんかあったの?めっちゃ機嫌悪かったんだよねぇ。ちょっと聞こえた話アンタの名前出てきたし」
「倉田?」
不躾な友達の質問に残念ながら思い当たる人はいないわけで。
誰ですかねぇ。くらたクラタ倉田・・・・・・んー?覚えがないなぁ
「私と同じ陸上部のチャライケメン」
ちゃらいけめんってなに。新しい代名詞?いや、ちゃら?チャラ男?昨日のイケメン?え、まさか昨日のイケメンご立腹なの?私バッドエンドに足突っ込んじゃった?
「倉田・・・くん、写真とかありますか?」
「あるよーほら。真ん中の意地悪い笑いしてるイケメン」
パッと見せてきた携帯の画面に写る何人かの男子の写真。いやーにかっと無邪気な笑いをしながらこちらに笑いかける男子達の笑顔眩しいなぁ。そして見覚えがちょっとある男子がいる。肩組んでる男子の口引っ張ってにやりと笑うイケメンくん。この人が倉田くんのようです。
すごい見覚えあるなぁ。肌結構焼けてるところを見ると去年の写真かな。
え。なに。この人怒ってるの?
私が昨日逃げたから?
それともプライドでもへし折ってしまいました?