君と春を
ぎゅっと抱きしめられ、温もりを感じる。こんな時でも、この腕の中は温かくて癒される。
「大丈夫だよ。俺がいるし、俺が守る。約束したろ?
落ち着いたら、何があったか言ってごらん。…言いたくなければそれでもいい。何も心配いらないよ。」
かけられる言葉はどこまでも優しい。
湧き上がるような愛しさを感じて……この人に愛されたいと切に願う。
なのに、あんな風に拒否してしまった。
言わなくてもいいと言ってくれたけれど、こんなに大切にしてくれる彼にこれ以上何も言わないで甘え続けるなんてできない。
「……っ、慎汰さん………。」
温かい腕の中で、覚悟を決めて彼を見上げる。
「全てを……聞いてくれますか?」