君と春を



夏季の野球大会。

何故かそこに私は佐原君に誘われて見に行った。

試合は負け。佐藤君の引退試合になった。

「な、ちょっとだけ佐藤に挨拶してこっか?」

「えっ!?いいよ。」

困惑している私を強引に引っ張り、佐原くんは野球部の控え室へ行こうとした。

「………あれ?」

彼のその一言とともに足取りが止まる。

「あれって……さ。」

示された先。そこには…

選手控え室の廊下で抱き合う、佐藤君とマネージャーの姿があった。

「…………っ!」

…わかってた。
ふたりがそういう関係だって。

でも、実際見てしまうとショックは大きい。

「……行こう。」

佐原君はまた私の手を強引に引き……
帰りはずっと離さなかった。



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