君と春を



「………っ!」

突然思い出に襲われる。

「………あ………」

目眩と共にやって来た茉莉の言葉は、私の心に深く突き刺さって取れないままだった言葉だ。

もう思い出したくなんかないのに。

慎汰さんの側にいられればそれでいいのに。

……慎汰さんに会いたいよ。

だけど、今のままじゃ寄りかかってばかりだ。自分の足で隣に立ちたい。


過去は自分で振り払いたい。


でも……一気に過去が溢れてくる。


抗えない。


あれは………茉莉だ。



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