君と春を
壊れた心に耐えきれず眠ってしまった私を待っていてくれたのも茉莉だった。
「美月!
……よかった。やっと起きたんだね。心配したんだから!」
眠りから覚めた私の目に映ったのは疲れた顔の茉莉だった。
「……毎日ここに来てあなたを呼んでたのよ。」
それは百合先生の言葉。
それから退院までの2週間、茉莉は毎日通ってリハビリに付き合ってくれたり話し相手になったりしてくれた。
この時までの私は………
何も知らなかった。
知らなすぎた。
茉莉の明るい笑顔の下にどんな思いが渦巻いてるかなんて、想像もしていなかった。