君と春を
翌日私は叩きつけられた失恋を断ち切るかのように明るく振舞った。
「……ねぇ、ちょっと。放課後生徒会室に顔出して。」
佐原君にそう言われて、掃除を終えてから生徒会室に向かう。
「何?どしたの?」
窓際に立っていた彼に向かって 努めて明るい声を出す。
私に気づいてこちらを向く顔は真剣で、でもどこか自信に満ちていた。
「無理して笑ってんの?あいつのせいで?そんなの俺耐えられないんだけど。」
まっすぐな視線が刺さる。
「お前が笑う理由も、泣く理由も、あいつじゃなくて俺にしろよ。
お前には俺が必要だ。
……彼女になれよ。」
断る理由がもう見つからなかった。
縋るように、彼の手を取って頷いた。
私を抱き寄せる手は………
思っていたよりずっと、温かかった。