君と春を



苦しい高校生活に耐え、大学生になって数ヶ月の頃、問題は起きる。

当時私は塾講師のバイトと週末の料理教室のアシスタントのバイトを掛け持ちしていた。

優也の一件以来男に拒否反応を示し、恋愛なんて考えるのも嫌だった頃だ。

「冬瀬さん…だったよね。俺、渡会友晴。よろしくー。」

塾講師のバイトで出会ったその彼はニコニコと愛想のいい人だった。

「…どうも。」

「君T外語大だって?俺R大学経済学部。」

「R大経済学部?友だちもおんなじとこ行ってる。」

話をしていると彼は茉莉の知り合いだった。

でも何だかあんまり好意的じゃない感じがして、それ以上は茉莉の話はしなかった。



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