君と春を
俺のために料理を作る美月。慣れた手つきで作るのはリクエストした出汁巻き卵。
「…慎汰さん?あの、そんなに近いと作れないし、危ないですよ?」
そう、俺は美月を後ろから軽く抱きしめながら料理する手を見ている。
「んー?いや、料理してる美月の手ってすっごいエロい感じしてさ。
ずっと近くで見ていたい。…と言うか、触りたい。」
そして触れようとそっと手を伸ばすと、
ぺちっ
「てっ!」
………怒られた。
「慎汰さん、お料理の邪魔するならもう作りませんよ。」
卵を溶く手を止めてこちらを振り返る彼女はちょっと怒っていて……
なにコレ………可愛い。
「…その顔逆効果だよ。もうムリ。」
「ムリって何が………っ!」
強引に唇を奪い、両手を絡ませて彼女が逃げられないようにして貪る。
「んっ……ま……って。あ……っ!」
そんな声を聞いて止められるわけもなく、膝裏に手を入れて抱き上げてソファに連れ去った。
キスをしたまま俺の上に跨るように座らせてエプロンの紐を解き、ワンピースの背中にあるファスナーを下ろす。
エプロンごと脱がせてキャミソール姿にすると、美月は恥ずかしそうに俺を睨む。
「お料理……できなっ………!」
言葉ごと飲み込むように唇を塞いで、わざとリップ音を立てて離す。
「料理は俺がする。美味しくしてあげるよ。」
恥ずかしそうに頬を染める美月。この顔を見てしまうともう止められない。
…そもそも止める気はないけれど。
美月の両手首を彼女の背中に回して片手で組み締めて耳元で最高に甘く囁く。
「煮る?焼く?
でもやっぱ、いい素材は生で味わうのが一番かな。」
柔らかい耳を食み、白い陶器のような首筋を舌でなぞると彼女が背中を反らせてピクリと反応した。
「ん…っ、ダ…メ…っ!」
ほんのり色づく肩口は俺を誘うように魅惑的で、思わず噛み付くように口づける。
空いている手は自然と俺の大好きなくびれを撫で上げ、口を使ってキャミソールとブラジャーのストラップをずらす。
マシュマロのような胸元に焦らすように柔らかく軽く何度も口づけると彼女の口から快楽の溜息が漏れた。
「…は…ぁ…んっ、慎汰さ…ん」
「……美月、どこで食べて欲しい?
言わなきゃここで食べちゃおうかな?」
そう聞くと、一瞬止まった美月はくすくすと笑いながら答えた。
「仕方のない人ですね。
……慎汰さんのベッドで食べられたいです。……残さず食べてくださいね。」
「そ?よくできました。ご褒美にうんと美味しくいただいてあげるよ。」
そして結局その夜も美月が意識を失うまで、美味しく美味しく俺は彼女を食べ続けた。