君と春を



美月が眠ってから一週間になった。

その仕事は秘書課の他の子たちが受け持ってくれたが……全然使えない。
いかに良くやってくれていたか身に沁みる。

それに……

「専務、コーヒーでぇす。」

「あぁ。」

…………………美月のコーヒーが飲みたい。

窓の外を眺めると、街角の桜はもう、青々とした葉で覆われていた。


会いたい。


怒った顔でもいい。


困った顔でもいい。


…泣いていてもいい。


美月………


君の心がいる場所が分かるなら


今すぐ迎えに行くのに。



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