君と春を
美月が眠ってから14日経った。
身体はもう限界に近づいている。
どうしたらこの子を救えるのか……
病室には今日も彼の姿がある。
事態は悪化の一途だ。
………話さないとなぁ。
私は美月の現在の状況を包み隠さずはなすことにした。
「正直言って、あまり良くないわ。
身体機能が落ちてる。数値で見ても明らかな位。
筋肉や胃腸なんかの低下ならまだいいわ。
心肺機能までやられたら………
手の施しようがない。
ギリギリのところよ。」
「…っ!……そうですか。
俺じゃあ役不足………ですか。」
「そうじゃないわ。おそらく、美月が……終わりを望んでる。」
一瞬驚いた彼は苦しそうに溜息を吐く。
「元々美月は生きることを望んでなかった。
あの時も、起こさないで欲しかったと泣かれたわ。
それとね。実は………
『次に眠った時は延命措置は断る』
そう美月自身が残した書面がある。
これがある以上、今より悪化することがあっても誰も手が出せない。」
「死ぬのをただ見ていろってことですか!?
そんなこと……!」
「美月がそう願ってしまっている以上それしかないの!
それが嫌なら起こして!
今すぐ起こしてよ!」
泣き叫ぶように訴えてしまった。
私は医者なのに……。
もう掛ける言葉がない。
耐えきれなくなり、病室を出た。