君と春を



翌朝、看護婦さんが重湯を食べさせてくれた。

正直、空腹がわからない。

スプーンを持とうとした手も震えて心許なく、食べさせてもらったのだ。

身体がこんなに言うことを聞かないなんて、自分が望んだ末のこととはいえ、ショックだった。

結局重湯すら5口も食べたらもう入らなかった。

気持ちのいい朝だと言うのに全く動きたくない。
窓の外を眺めると、もうすっかり桜には青々とした葉が茂っている。



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