君と春を
「痛っ!」
「当たり前だろ、ヒールで蹴られたんだから。」
あの後慎汰さんは、百合先生もいるというのに病室まで私を抱き上げて運んだ。
「女じゃなかったら絶対殴ってたとこだよ。まったく…。」
茉莉は…泣きながら私に謝って行った。
これで全て終わりにして、もう二度と会わないと誓う。自分を見つめ直して友晴と向き合う。
そう言い残して帰った。
蹴られたお腹や手は痛かったけれど、茉莉と向き合えたことを思えば、残っていたモヤモヤが晴れてスッキリとした気分だった。
茉莉も前を向いて幸せを掴んでくれたらいい。心からそう思えた。