君と春を
退院してもう2週間が経つ。
日常生活にはもう特に支障はない。
あれから慎汰さんの素早く確実な手配の結果、私は退院当日のうちに必要なものを新居となる彼のマンションに運ぶ手配ができた。
…と言っても私にとって必要なものなんてたかが知れていたんだけど。
「えっと、本棚とチェスト、仏壇。それだけあれば十分です。」
「………それだけ?」
「はい。服や必要なものはチェストにまとめて入ってるし、生活用品はすでに慎汰さんのところにお泊まり用が揃ってます。」
「……なるほど。」
『美月らしい』そういって慎汰さんは笑った。彼の笑顔は私にとっては天使の微笑みだ。