君と春を
「おいで。」
とにかくご機嫌な慎汰さんは私の手を引いてある一室のドアの前に立った。
そこは私が使わせてもらう部屋。元々は社長でもあるお兄さんが泊まりにきた時用にとベッドが一つ置いてあったところだ。
カチャリ…
「………あれ?これ……。」
私の目に飛び込んできたのは、かつて見たベッドではなく、フレームが白いレザーのベッドとそれと同じ色で揃えた大きな三面鏡付きのドレッサーだった。
「あの、慎汰さん……これは?」
ドアの前で驚いて立ち止まる私を慎汰さんは背後から優しく抱きしめ、耳元で囁くように話す。
「ベッドは退院祝いだよ。
それと………ドレッサーは、美月を一生俺のものにするって約束した記念。」