君と春を
「さて、お掃除しよ。」
彼を見送り、家事に取りかかる。
掃除、洗濯、料理。
リハビリも兼ねて少しずつするようしていたけれど今ではすっかりこなせるようになった。
何より、彼と一緒の生活のためにいろいろすることはとても楽しい。
私が退職したことで膨大なものになっているはずの彼の仕事量。
秘書課に数人中途採用したらしいとはいえ彼の仕事スタイルを鑑みれば対処しきれない部分も多いはず。
その負担がのしかかっていることは否定できない。
現にほぼ定時では帰ってこない。
そんな疲れた身体を癒せるなら、部屋をきれいにしたりバランスのいいご飯を作ったりすることはこの上ない幸せだった。