君と春を
約束の日曜日、肌寒い風が吹いていた。ストールを巻き、校門前で待ち合わせていた優也のところに向かう。
「…美月、待ってたよ。」
優しい笑顔。
当たり前のように差し出される手。
そこにいたのは以前と変わらない優しい優也だった。
『行きたいところがある』そう言う優也が私を連れていったのは誕生日に言っていたケーキ屋さんだった。
「美月に食べさせたかったんだ。」
楽しそうにケーキを選び、コーヒーと紅茶を注文してカフェコーナーへ私を促す。
まるで幸せだったあの頃のように優しく私を見つめる優也と一緒にいると胸が苦しくなった。
確かに私は…この人が好きだった。