君と春を
気づけば沈みかけた夕日の中、手を引かれて寮への道を歩いていた。
「もう美月には会わないよ。約束する。死ぬまで会うことはないから。
……でもね、きっと10年後も君は俺のことで頭が一杯になるよ。
それと。
ねぇ…美月、桜が散るのって綺麗って言ってたよね。たくさんの桜を散らせて見せてあげる。」
「桜…?何言ってるの?優也。」
「……今にわかるから。
美月の心を永遠に確実に俺の物にするおまじない。
いいだろ?」
「……っ!」
反論は聞かないとばかりに降ってきたキス。
最後のキス。
それはとても柔らかくて……
とても、憎らしかった。