君と春を
現れた人物は背の高い綺麗な男性だった。
柔らかい目元が印象的でその瞳はほんのり茶色がかっている。そしてその瞳と同じ色の髪はさらりとしていて、爽やかな空気を纏っている。
「冬瀬くん、紹介するね。
後任の春瀬くん。
パリ支社からの着任だよ。
春瀬くん、こちらは秘書課の冬瀬さん。彼女は優秀でね、言えばなんでも出来るからきっと君の即戦力になれるよ。」
……高野専務は買いかぶっている。
私は言われたことをしているだけだ。
……余計なこと、言わないで欲しい…
「何でも…ですか。へぇ。よろしくね。冬瀬さん。」
爽やかさに似合わず挑戦的な表情はちょっと子供っぽくもある気がした。