君と春を

遠慮しないよ




「おはようございます。」

百合先生の検診の翌日、会社へ向かう。

心配されるのもゴメンだし、目一杯の営業スマイルを 貼り付けて専務室に入る。

「そうですか。わかりました。」

先に着いていた専務はちょうどそう言って電話を切るところだった。

私に気づくとその視線を向け、綺麗に微笑む。

「おはよう。今日もよろしくね。」

昨日あったことがまるで嘘のような笑顔なのは、きっと百合先生に何か言われたからなんだろう。

「はい。…コーヒー入れますね。」

「そう?じゃあ貰おうかな。」

ふんわりと笑ってそう言い、専務は手元の仕事を再開した。



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