君と春を
週末、忙しくて残業続きだった仕事からやっと解放され、久々に2人揃って定時であがる。
「疲れただろ。どっか食事行く?」
自分だって忙しかったというのに私を気遣ってくれているのがよくわかる。
「……でも専務、会食続きでしたよね?帰ってちゃんとしたご飯食べた方がいいんじゃないですか?」
そう。ここ最近はお兄さんである社長や他社の重役との会食も多かった。
これでは身体によくない。
「……俺が料理すると思ってるの?」
「……しないんですか?じゃぁ普段はどうして…」
「外食か弁当。」
「うわ、そうでしたか。」
「美月は料理できるの?」
「できますよ。基本から家庭料理までは母に叩き込まれましたし、大学時代は料理教室のアシスタントのバイトもしてましたから。」
そう。食べるのに困らない程度ならいくらでも作れる。
「じゃ、うちに来て作ってよ。」