ヒカリ
第一章

good luck chairly

22歳にもなって、友だちが欲しいと思うなんて思わなかった。

「チャーリー、あんたはそう思うことないの?」

フガフガと鼻を鳴らしながら、短くて太い前足を必死に動かしてリードを引っ張る後ろ姿に声をかける。

「ないか。ないない。あんた、絶対なーんにも考えてないもん。」


正月休みが明けたばかりの夜の公園には、私とチャーリー以外誰もいない。
水の出ていない噴水の縁に腰をかけて、チャーリーをよいしょ、と抱き上げる。

「チャーリー、ちょっと太ったんじゃない?正月休み、ペットホテルで贅沢したのね。」


白い体に黒い模様の後ろ姿が、文句をいうように振り返った。

「わかってる。私たち飼い主が旅行に行ってたからよね。だから、チャーリーも少ーし食べ過ぎたのよね。寂しくていっぱい食べちゃったのよね。」

よしよし、と逞しい頭を撫でると、フレンチブルドッグのチャーリーは満足そうに目を閉じた。

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