ヒカリ
駅前の小さな喫茶店の窓際の席に向かい合って座った。

カウンターでは深緑のエプロンをつけたマスターが、サイフォンでコーヒーを淹れている。

おいしそうに玉子サンドを食べる泉水を前に、私は窓の外をずっと見ていた。

「恵玲奈、食べる?」

泉水は玉子サンドをひとつ、私に差し出す。

いい、と答えると、泉水はおいしいのに、とふて腐れた。

「お腹空いてないんだもん。泉水、一人で全部食べれるでしょ。」

「食えるよ。食えるけど、おいしいもんは、恵玲奈にも食わせたくなるんだよ。」

私は差し出された玉子サンドを受け取った。

「な、うまいだろ?」

泉水は、にこにこと笑う。
玉子サンドは確かにおいしい。


「仲いいね。ご夫婦?」

いつの間にか、すぐ横にお水を注ぎにきたマスターが、立っていた。

私の左手に光るリングを見て勘違いをしたのだろう。

違います、友だちです。

そう言おうとした時、

「はい。」

向かいに座った泉水がマスターを見上げてそう返事をした。


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