ヒカリ
泉水はそう言うと、両手を離して、今度は私の両頬に手のひらを当てる。

「つめた。」

泉水が私を見つめる。
泉水の長い睫毛の一本一本が微かに震える。

雪が音を吸収するのだろうか。
なんの音も聞こえない。

「泉水…」

「なに?」

「来年も、一緒に雪を見に来れるかな?」

「うん。」

「再来年も?」

「うん。」

「その次も、その次も?」

「うん。」

「ずっと?」

「うん、ずっと。」


泉水はそっと両手を離した。
温かくなった頬に冷たい空気が当たる。

もっと、そうしていて欲しかったのに。

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