ヒカリ
陶子ちゃんは、ベンチに深く座り直して、足をブラブラさせた。
「陶子、やっぱりよくわかんない。」
服装はいつも大人っぽいのに、こうして話してみると、陶子ちゃんはものすごくかわいい話し方をする。
「好きなのに、一緒にいられない、なんて。恵玲奈さん、泉水が好きなら離婚すればいいじゃない。」
陶子ちゃんの言葉に、私は眉をひそめる。
「簡単に言うのね。」
陶子ちゃんには、わからない。
たった紙切れ一枚だけど、私と正人さんは間違いなく夫婦で、そんなに簡単に離れたりくっついたり出来ない。
夫婦ってどんな形でも、やっぱり夫婦なんだよ。
「だって、泉水かわいそうなんだもん。」
陶子ちゃんは呟いた。
なんにも言えず、黙り込む私を陶子ちゃんは目だけ動かして見た。
「恵玲奈ちゃんのお店のお菓子、おいしかった。また買いに行くね。」
そう言ってぽん、と立ち上がると、じゃあね、と手を振って歩き出す。
「あの桃のお菓子は、三月だけなの。四月には、なくなるから。」
慌てて背中にそう言うと、少しだけ振り向いて、はーい、と返事が返ってきた。
陶子ちゃんの姿は公園を出て見えなくなる。
泉水に会いたいなぁ、と思った。
来年も再来年もずっと先も、一緒に雪を見に行こうって約束したのに。
泉水に会いたいな。
「陶子、やっぱりよくわかんない。」
服装はいつも大人っぽいのに、こうして話してみると、陶子ちゃんはものすごくかわいい話し方をする。
「好きなのに、一緒にいられない、なんて。恵玲奈さん、泉水が好きなら離婚すればいいじゃない。」
陶子ちゃんの言葉に、私は眉をひそめる。
「簡単に言うのね。」
陶子ちゃんには、わからない。
たった紙切れ一枚だけど、私と正人さんは間違いなく夫婦で、そんなに簡単に離れたりくっついたり出来ない。
夫婦ってどんな形でも、やっぱり夫婦なんだよ。
「だって、泉水かわいそうなんだもん。」
陶子ちゃんは呟いた。
なんにも言えず、黙り込む私を陶子ちゃんは目だけ動かして見た。
「恵玲奈ちゃんのお店のお菓子、おいしかった。また買いに行くね。」
そう言ってぽん、と立ち上がると、じゃあね、と手を振って歩き出す。
「あの桃のお菓子は、三月だけなの。四月には、なくなるから。」
慌てて背中にそう言うと、少しだけ振り向いて、はーい、と返事が返ってきた。
陶子ちゃんの姿は公園を出て見えなくなる。
泉水に会いたいなぁ、と思った。
来年も再来年もずっと先も、一緒に雪を見に行こうって約束したのに。
泉水に会いたいな。