ヒカリ
冷蔵庫からアップルタイザーを二本、取り出した正人さんはソファに座りなから、私に一本渡してくれる。

広いリビングには二人掛けのダイニングテーブルとソファしかなく、私はいつも所在なく立ち尽くしてしまう。
自分の家でありながら、よそのおうちにいるようなこの感覚は、何年経てば消えるのだろう。

「恵玲奈、どうかしたの?」

立ったままの私を見て、正人さんが不思議そうにたずねる。

「ううん。なんでも。」

曖昧に少し笑って、正人さんが開けてくれたスペースに座る。

静かだ。

アップルタイザーの炭酸が抜けるしゅわしゅわ、という音が聞こえる。


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