ヒカリ
「恵玲奈ぁー。聞いてますかぁ?」

泉水が鼻の頭にしわを寄せて、私の肩をつんつん、とつついた。
こういう仕草も、まるで小学生みたい。

「だって…。」

「だって?」

「モンゴリアンチョッパーズ、好きなんだもん。」

泉水の顔が夜の森でもわかるくらい、パッと明るくなった。

「うっそ。恵玲奈、モンゴリアンチョッパーズ好きなんだ?」

泉水はうわぉ、と変な歓声をあげた。

それから、俺も俺も、と言いながら、私にハイタッチを求める。

「あ、はい。」

形式的に手を合わせる私の態度を気にもとめず、泉水はうわぉ、ともう一度嬉しそうに歓声をあげた。

「モンゴリアンチョッパーズ、知ってるやつ、あんまいないからびっくり。」

泉水は、そう言ってあぐらをかいで座り込んだ。

「なにが一番好き?」

そう言うと、よいしょっとギターを掴んだ。


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