ヒカリ
「ごめん。陶子、バカなのかもしれない。恵玲奈ちゃんが何言ってるか、さっぱりわかんないんだけど。」


陶子ちゃんはそう言って、眉を思いきり寄せた。


「ま、いいや。ねぇ恵玲奈ちゃん。今度の土曜日さ、オーガスタスのライヴがあるの。一緒に行かない?」



私はぶんぶんと思いきり首を横に振る。

「行かない。」

「なんでー?すみっこで見てたらばれないよ。暗いし。大丈夫だって。泉水には言わないからさ。ね、いこ?」

陶子ちゃんの言葉に、心が揺れ動く。
泉水を一目、見たかった。
本当はずっと。
ずっと。


「本当に泉水には言わない?」

「言わない。絶対に。約束する。」

「分かった。行く。」



一目だけ、見て帰ろう。
そしたら、またきっと頑張れるから。



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