ヒカリ
泉水が、くしゃっと目尻を下げて笑った。

「俺も好き。」


俺も好き。


なんて単純で、そしてなんて愛のこもった言葉なんだろう。

泉水がもう一度、私を抱き締めた。
泉水の背中に腕を回すと、思ってたよりがっしりしていた。

「私ね、まだ夢が見つからないの。泉水みたいに、夢がないの。まだ自分に自信ももてないし、これからもきっとたくさん失敗すると思う。」

泉水がふふっと笑った。

「俺だってするよ。きっと何回も失敗するし、自分に自信だってないよ。」


「…そうなの?」

「そうだよ。恵玲奈、みんなそうだよ。でも、倒れても立ち上がる時に、手を握ってくれる人がいれば、それでいいんだよ。」


泉水は体を話して、私の顔をのぞきこんだ。


「これからは恵玲奈が俺の手を握ってくれる?」


うん、と私は頷いた。

立ち上がる時に、手を握ってくれる人がいれば、それでいい。

泉水は笑って、もう一度、ぎゅうっと私を抱き締めた。


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